30歳を過ぎてから、素晴らしい映画に出会うと「20代のうちに観たかった」と悲しい気持ちに襲われるようになった。
若いときにこの作品に出会っていたら、もっと豊かな感性を手に入れられたのではないか、と。
でも、頭に無理して詰め込んだ芸術作品ではなく、旅、街角、人との自然な巡り合わせこそが私の礎になっているのも事実であって。
ああ、もしかすると、
何気ない出会いで感じた幸せや不思議、心に引っかかる違和感を、音と言葉と映像で追体験させてくれるのが私にとっての映画なのかな。
だから私は、ストーリーや構成よりも、映画から感じられる空気や匂いを重視するんだ。
そして、こういうことを気づかせてくれるのも映画である。だから映画を観ることはやめられない。
『魂のジュリエッタ』、何もかも素晴らしい映画だった。